名曲紀行 vol.15 チュルリョーニス《2つのノクターン》
こんばんは。Raindropです。
本日も名曲紀行のお時間です。
今夜は、リトアニア。チュルリョーニス作曲《2つのノクターン》をお届けします。
この名前を聞いたことがある方は果たしていらっしゃるかどうか……日本では、ほとんど知られていないといってもよいかもしれません。
ただ、美術にご興味がお有りの方はご存じかも。
というのも、1992年にセゾン美術館(現在は閉館)でチュルリョーニス展が開催され、それなりに有名になった経緯を持っているからです。それでも、音楽家としての彼を知る人はそう多くないでしょう。
しかし、故郷リトアニアでは知らない人はいない、というほどの国民的芸術家。リトアニアには、彼の作品だけを集めた博物館もあるほどです。
「芸術家」といったのには訳があり、この名曲紀行で取り上げたことからわかるように、名の知れた音楽家でもあったからですね。
画家としてのチュルリョーニスは、かのカンディンスキーにも影響を与えたとされる幻想的な作風で知られ、彼の音楽にもどこか通じるところがあります。それに、絵の題名も《星のソナタ》《前奏曲とフーガ「天使」》などとっても音楽的。
ちなみに、彼の本業は音楽だったのですが、気晴らしに始めた絵のほうが大人気となり、どちらかといえば音楽よりも絵画でその名が残ることになりました。
チュルリョーニスは、草葉の陰でどんなことを思っているのでしょうね。本業より余暇が評価されて微妙な気持ちなのか、自分が思い切り楽しんで描いた絵が評価されて大満足なのか……
そんなチュルリョーニスは、「人間というのは、ひとつの名札だけつけられるものではない」との言葉を残しています。音楽家、画家、詩人、学者と、様々な表情をもつ彼らしい言葉だと思いませんか?
今夜は、彼の描き出す夜の情景に浸り、リトアニアという国にも思いを馳せてみてください。