名曲紀行 vol.7 ゴットシャルク《大タランテラ》
おはようございます。Raindropです。
本日も名曲紀行のお時間です。
今朝は、アメリカ。ゴットシャルク作曲《大タランテラ》をお届けします。
ゴットシャルク(ゴッチョークとも)は、ニューオーリンズ出身の作曲家。ヨーロッパに演奏旅行に行った際は、かのショパンに「あなたはピアノの帝王になる」とまで言われた伝説的ピアニストでもあります。
民族色の強い曲を多く残しており、メロディーなどがとっても親しみやすいのですが、そのためにピティナ・ピアノ曲事典では「大衆に迎合した作品を作ることが多くなった」などと書かれてしまっています。
しかし、南米の民俗音楽に取材した、しかしヨーロッパのロマン派音楽の影響を強く受けた彼の作風は、中南米、カリブ海地域、南部アメリカなどの人々に寄り添い、抑圧された人々の声を音楽によって代弁するものでもあったのです。
彼が日常的に使っていたのはフランス語でしたが、奴隷制に反対する立場をとっており、南北戦争の際も、ゴットシャルクが支持したのはリンカーン率いる北部でした。
さて、この曲のタイトルになっている「タランテラ」。ご存じの方はご存じでしょうが、ナポリのタラントという町の名に由来するテンポの速い踊りです。
ちなみに、毒グモのタランチュラから来ているという説もあり、タランテラに刺されたら、その毒を抜くために踊り続けなければならない(!)という逸話がもとになっているようです。
どちらの説をとるかは、あなた次第。
そんなヨーロッパの伝統的な舞曲と、南米の民俗音楽を融合させたこの《大タランテラ》は、まさしくゴットシャルクの面目躍如といえるでしょう。
ちなみに、ピアノソロでも楽譜はあるのですが、弾こうとしたら本当に大変。ゴットシャルクの作品はどれも難曲ぞろいなのですが、タランテラに至っては手も出せないほどです。私にとっては、ですけどね。
しかし、とっつきにくいなどということは一切なく、一度聞いたら耳に残る、つい口ずさんでしまうような、魅力的なメロディーばかり。あなたも中南米の、熱気に満ちた妖しい夜に浸ってみませんか?
そしてこの曲、実にいろいろなバージョンがあります。ピアノソロ、オーケストラとピアノ、オーケストラとバレエなどなど。
このコーナーでは、上にあげた三つのバージョンをすべてお届け。お気に入りのバージョンを見つける楽しみもまた、音楽の魅力のひとつといえるのではないでしょうか?