雨垂雑記

百合好きの備忘録

名曲紀行 vol.17 ステンハンマル《三つの幻想曲》

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ヴィルヘルム・ステンハンマル(1871~1927)

こんばんは。Raindropです。

 

今日も名曲紀行のお時間です。

 

今夜は、スウェーデンステンハンマル作曲《三つの幻想曲》です。

 

ステンハンマルの名はあまり知られてはいませんが、母国を同じくするブロムシュテット氏が指揮する交響曲クラシック音楽館などで聴いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

 

スウェーデンの首都ストックホルムに生まれ、ピアニスト、指揮者、作曲家として活躍した多才な人物でした。このうち作曲は独学だそう(!)

 

今日ご紹介する曲でお分かりかと思いますが、ものすごくしっかりした構成、魅力的なメロディーを持つ曲をたくさん世に送り出していますから、天才の独学というのは恐ろしいですね。

 

日本でこそあまり話題に上ることが少ない作曲家ですが、祖国スウェーデンでは第二の国歌《スヴァーリエ》の作曲者として名が通っています。どこかシベリウスに似ていますね?

 

ちなみに、ここまでスウェーデンスウェーデンと書いてきましたが、スカンジナビア半島の中でどこがスウェーデンがお分かりですよね?

 

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スウェーデン地図(北欧トラベル様HP*1より)

 

さて、このステンハンマルを紹介するにあたり曲はかなり悩みましたが、一曲目から強烈な印象を残し、聴いた後も長く尾を引く幻想曲をお届けします。

 

ドイツの影響を受けているということですが、確かにメンデルスゾーンシューマンのようなメロディーを感じます。まぁ素人考えですから、専門の方は「いやいや、そんなことない」と思われるかもしれませんけれども。

けれど、彼が音楽を学んだのはベルリンですから、ドイツの影響もあって当然でしょう。

 

ちなみに、偶然というか運命というか、ステンハンマルが生まれたのは1871年、つまりドイツ統一の年です。彼の生きた時代がなんとなく想像できるのでは?

 

北欧ということで、特に一曲目はカスキの《激流》のような雰囲気ですが、より一層ドラマチックで、タイトルの通り幻想的な雰囲気が漂います。そして何より、澄み切った空気の刺すような冷気、更には極寒の国だからこそ際立つ暖かさが織りなす、美しい音楽。

 

私は、特に一曲目が大好き。サビのメロディーなど、何度聴いてもゾクゾクします。三曲目の途中にも出てきますが、本当に回想の絶美です。

弾いても楽しいですが、なかなか重厚さと流麗さが両立できません……(^^;

練習しがいのある曲、ともいえますがね。

 

それぞれ単品で演奏されることもありますが、一曲目から三曲目まであわせて一つの作品です。スウェーデン・ピアニズム最高峰の「音のタペストリー」と言っても過言ではないと思います。

 

「幻想曲」という名は題名に迷ったらとりあえずつける自由な曲、くらいの意味と聴いたこともありますが、ぼくは本当の意味で“幻想”の曲だと思うのです。

 

演奏は、アレクサンデル・ヴァウリン。ガーシュインからドビュッシーメトネルまで幅広いレパートリーを持つピアニストです。

 

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