名曲紀行 vol.11 ポンセ《キューバ組曲》より〈Guateque〉
おはようございます、Raindropです。
本日も名曲紀行のお時間です。
今朝は、メキシコ。ポンセ作曲《キューバ組曲》より〈Guateque〉です。
昨日までからすれば、一気に南に飛ぶことになりますね。北の音楽も美しいですが、南の音楽だって負けず劣らず素敵な曲ぞろい。
実はタイトルを原題のまま乗せたのには訳がありまして、日本語訳がわからないのですよ。
ゴットシャルクのハバナみたいな。
けれど、どちらにせよ、南米の暖かな地域の楽し気な光景が目に浮かぶような曲です。なのでパーティとして取ってもいいような感じもします。
ポンセはメキシコを代表する作曲家で、交響詩、ヴァイオリン曲、ギター曲、ピアノ曲など実に多種多様な曲を書いています。
パリを訪れた際はちょうど来ていたギター奏者・セゴビアと親交を結んだほか、あの《魔法使いの弟子》を書いたデュカスにも師事しているそうですよ。思わぬところで思わぬ作曲家同士の縁があるものですね。
ですから、ポンセはフランス音楽の流れをくむ作曲家といわれています。フランスものが大好きな私がこの曲にたどり着くのも必然だったかも……なんて。
彼の作風は年を追うごとにどんどんメキシコ民俗音楽に寄っていきました。そのおかげで、彼らしい、メキシコらしい、そんな音楽がたくさん生まれたのですね。
また、彼の作品の中で一番知られているのが《エストレリータ(小さな星)》でしょう。元々は歌曲なのですが、ハイフェッツのヴァイオリン編曲バージョンをはじめとして、他の楽器用に編曲されたものの方が有名になっています。
これも本当に美しい曲で、メキシコ音楽の至宝といっても過言ではないと思うくらい。
しかし、彼のピアノ曲にも、もっと注目が集まってよいと思うのです。
ポンセが活躍した当時のピアノという楽器は、南米の経済事情や温湿度の高さなどもあって、まだあまり一般に普及していませんでした。けれどポンセはごく初期のころからクラシック音楽のピアニストとして活躍していましたし、古典的な曲もけっこう書いています。聴いてみると意外な発見があること請け合いの作曲家、それがポンセ。
南の国のほがらかで楽しげなリズムとメロディーの中に、ほんのひとさじ、といった具合に哀愁が香る、ポンセの魅力を知るにはもってこいの曲だと思います。
テンポの速いバージョンと遅いバージョンがあるのですが、この曲のある意味で ”ゆるい” 楽しさを味わうには、遅いテンポで聴いた方がいいのではないかな、というのが私の感想です。
これを機に、メキシコの音楽にもたくさん触れてみてくださいね。